[ 第10回 宇野港芸術映画座 ]

『Lyd』アンコール・オンライン配信決定!
2025年2月1日(土)〜7日(金)

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第10回UPAFは、まず2024年9月〜12月にオンラインで開催(2〜3プログラムを7日間、3週間ごとに5弾に分けて配信、全13作品)し、その後2025年1月10〜13日に岡山県の2カ所で対面上映を開催します(全14作品)。1月10〜11日は玉野市宇野港ウノポートイン内の「UPINN カフェ」、1月12〜13日は岡山市のカフェ「奉還町4丁目ラウンジ・カド」が会場となります。宇野と岡山は、車で40分、電車かバスで1時間くらいの距離があります。会場はどちらも定員20−25名で小さいので、ご予約をおすすめします。対面の上映スケジュールはこちら。チケット購入・ご予約はこちら。現金で現地決済をご希望の方は、info@unoportartfilms.orgまで事前ご予約しておけば確実です。

ボランティアと小口グラントだけで運営する小さな映画祭なので、なるべく誰にも無理がかかりすぎずに続けていけるために考えた実験的な開催形態です。ほぼ全作品が日英字幕付き配信・上映、自分達で翻訳するものには、なるべく多くの方々一緒に楽しめるように日本語バリアフリー字幕をオープンキャプションで付けてます(例外は対面のみで上映の『ミャンマーダイアリーズ』。こちらは日本語字幕付き、英語はなしです)。

創設当初からのテーマ「生きる・創る・映画」はもちろん大切にしながら、UPAFでは毎回、開催年に世界で起こっている重大な事象や出来事をミニテーマに置き、数作品を集めます。今年のミニテーマには「パレスチナ」です。世界的に非常に高い評価を得ていて芸術性も娯楽性も高いにも関わらず日本では観られないパレスチナのいい映画7本(そのうち6本は日本初公開)から、パレスチナの歴史をたどります。そのほかにも、日本に住む外国人労働者の多い東南アジア諸国(中国、ベトナム、インド、ミャンマー)から、激動の時代を生きる普通の人々を描いた作品群や、2020年から実施の公募から選ばれた日本短編映画の特集もあります(これは無料!)。オンライン鑑賞券:一回券1,100円(2本立ては1,600円)。対面鑑賞券:一回券1,200円(2本立ては1,600円)。シニア・学生・障がい者・外国人労働者割引あり。お得なパレスチナパス6,600円(全7作品視聴可能)とシリーズパス8,800円(全14作品視聴可能)もあり。

また、今回配信・上映するパレスチナ映画7本の歴史的文脈を、現在大注目の岡真理さん(『ガザとは何か』『中学生から知りたいパレスチナ』など、著書多数)に解説いただいた Zoomライブトークを11月と12月に配信します(約2時間ずつ、各500円)。アップデート1/2/2025:こちらは非常に好評なので、アーカイブ配信を2025年1月末まで続行します。映画を観ていなくても、パレスチナのことをがっつり学べます。チケットはオンラインUPAF特設サイトから。

岡山会場では、パレスチナ映画全7本を時系列で上映します(1日3本ずつ、2日間)。パレスチナパスを購入して岡山会場で全作品を見て、岡さんのトークを聞いたら、パレスチナ事情がかなり分かります。中国の農村の1年をローカルタイムでじっくり追ったドキュメンタリーも、技能実習生として来日した若きベトナム人女性たちを描いたドラマ作品も、宗教やカーストの分断が加速する極右政権下のインドで立ち上がった学生たちの動きをアーティスティックに描いたカンヌダブル受賞のインド人女性監督のハイブリッド作品も、クーデター後のミャンマーで息を潜めて生きる普通の市民たちが自分達の暮らしを匿名で描いたクリエイティブなオムニバス映画も、どれもパワフルで創造性に満ちています。公募から選ばれた日本短編特集の3本も、どれも個性的で今の日本を体現する作品です。1/13 最終日には、ざっくばらんな夕飯会も予定しています(予約制。詳細はここ)。皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。

第10回宇野港芸術映画座は、芸術文化振興基金助成事業と財団法人大竹財団の助成金を受けて実施しています。宇野港芸術映画座は、特定非営利活動法人です。

 


上映スケジュール

オンライン
2024.9/27-10/3 オンライン配信 #1
2024.10/18-10/24 オンライン配信 #2
2024.11/8-11/14 オンライン配信 #3
2024.11/29-12/5 オンライン配信 #4
2024.12/20-12/26 オンライン配信 #5
2025.2/1-2/7 オンライン・アンコール配信(lydのみ)

対面上映
2025.1/10-11 Uno Port Inn
2025.1/12-13 奉還町4丁目ラウンジ・カド

岡真理さんによる Zoom Live Talk 1 & 2
「ナクバ(とそれ以前)〜第一次インティファーダまでの解説とQ&A」
「オスロ合意から現在までの解説とQ&A」


キュレーターより

今までの14年間で、UPAFは日本で流通しにくい国々や文化圏からの自主制作映画をたくさん上映してきました。アフリカ、ラテンアメリカ、アジア、各大陸の先住民やマイノリティの作った作品など、いろいろありました。ニュースで数値としてしか現れないような人々の普通の暮らしを描く映画の力を、私たちは信じています。上記の通り大テーマの「生きる・創る・映画」はそのままに、毎回その時に大切な世界の事象に合わせてミニテーマを選び、数本をプログラムしています。前回の2022年のミニテーマは「ケアのかたち」でした。今回はガラリと変わって、「パレスチナ」。なぜかというと、中東は実は西アジア、つまり同じアジアの仲間なのに、私自身がそこを遥か遠い土地と思って日本で育ち、今でも情報があまりにも入っていないと感じたからです。私が過ごしたバブル期の日本は、皆の目が西洋に向いていました。その落とし子として、私もアメリカに奨学金留学し、間違いみたいにそのまま居残りました。なぜ、西アジアよりアメリカの方が身近に感じていたのだろう、と考えさせられます。

ニューヨークに30年以上住んで、15年以上大学で教えてきて、ガザに家族が多くいるパレスチナ人ディアスポラの生徒もいるし、ガザ出身の映画制作者の友だちもできました。多くの家族や親戚を次々に失い続けている彼らにとって、ガザで今起こっていることは、1948年から終わりなく続いている闘いの同一線上にありながら、未曾有の悪夢です。

2023年10月以降、アメリカの学生たちの多くが、アラブ人もユダヤ人も東南アジア人も黒人もラティーノも、世の中の不条理を受け入れずに人生を賭けて闘っています。自分たちの払う税金が武器に変わりガザの人々を殺すことに反対し、立ち上がっている(特にユダヤ系の)市民もたくさんいます。メディアでは報道されないか、捻じ曲げて報道されるようなことです。それを間近に感じながら、私たちの父母、祖父母、曽祖父母が体験した戦争、一般市民の大量虐殺という面では被害者であり加害者でもある日本に生まれた私たち、敗戦、そしていろいろな問題があるとは言え世界的に見れば豊かな現在の日本の暮らし、そうした事象と今私たちが目撃している虐殺とは、どうつながっているのかを考えながら日々を過ごしています。

その中で、パレスチナのことを長年気にかけてきた人たちから教わって、パレスチナやイスラエルの映像作品をたくさん観ました。少しは知っているつもりだったのに、自分は何も知らなかったことに気付かされ、とりわけパレスチナ人監督たちのクリエイティビティ、才能、ストーリーテリングへの情熱に心を打たれました。また、世界的に非常に高い評価を得ていて芸術的にとても優れているのに、日本にはまだ紹介されていないパレスチナ作品が多くあることも知りました。そこで、いい映画を鑑賞しながらパレスチナの歴史をたどることができて、自分たちと彼の地で起こっていることのつながりを感じられる作品群を上映しようと思いました。

目をそらしたくなるけれど、そらしてはいけないし、そらさずに観れば、きっとそれぞれの形でつながれて、自分の居場所ももう少し明確になるかもしれません。なにより、パレスチナ映画の質の高さに驚くと思います。そのほか、日本短編やアジアの他の国からの秀作も上映します。ドラマ、ドキュメンタリーなど。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

キュレーター/共同主宰 タハラレイコ

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スイカと水平線をイメージしたポスターアート:赤田竜一
ウェブサイト運営:柳川みよ
共同主宰:タハラレイコ、上杉マックス幸三