鳥はどこを飛ぶ

1/11(土)16:00 宇野会場 & 1/13(月)13:00 岡山会場(定員各20名)、2015年にUPAFで日本初上映!
『アフマドは生きている』と2本立て上映、2作品の主題:「市民ジャーナリストが記録したガザ攻撃:2008-09と2023-04」


監督:フィダ・キシュタ | ガザ | 58分 | 2013 | カラー | セルフドキュメンタリー | 英語・アラビア語 | 英語&日本語字幕付き(バリアフリーではありません)| 原題:Where Should the Birds Fly | 鑑賞券 1600円 | 売上は、監督がガザの家族を助けるための資金に寄付されます。
*15歳以下のお子さんにはお薦めしません。

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1993年のオスロ合意で交わされた約束が果たされないことに怒りを募らせていたパレスチナ人は、2000年に蜂起し、第2次インティファーダが始まった。第一次(1987-93年)とは違って、暴動や自爆テロによる武装抵抗が多く、イスラエルは大規模な空爆や戦車、ブルドーザーでの報復攻撃をガザで行った。その最中の2004年、ガザ最南端エジプトとの国境の街ラファで育ったフィダは、生家がイスラエル軍のブルドーザーに潰されるのを見た。やがて彼女はビデオカメラを武器として手にとり、ガザ地区初のパレ スチナ人女性ビデオジャーナリストになった。この映画は、大人になった彼女が、2008−09年のガザ紛争(イスラエルではキャストレッド作戦、アラブ諸国ではガザの虐殺と呼ばれる)で見た、西側先進国のニュースでは決して伝えられない映像を、一つの作品にまとめた貴重な記録映画。現在ではガザからの映像がSNSでただちに世界に伝わるようになっているが、今、10年以上前につくられたこの作品と、今年制作の『アフマドは生きている』を一緒に観ると、ガザの市民たちが長年にわたり生きてきた世界に、歴史的文脈を交えて思いを馳せられるかもしれない。以下は、UPAFが2015年に日本初公開した時に書いた紹介文:

パレスチナ人と言えばまるで全員が兵士のような印象を受けるが、作品に出てくるのは皆、農民や漁民など、普通のパレスチナ人。でも彼らの暮らしは普通とはほど遠い。全く罪のない人々が何十年にも渡り囚人のような生活を強いられているのを、世界は見て見ぬ振りをしてきた。なぜ?この、時に衝撃的な映像を直視する責任は誰にあるのだろうか。何人もの家族を一度に目の前で殺された少女モナに、フィダは自分の過去とパレスチナの将来を重ねる。モナの心の傷は癒えるのだろうか。この作品で、希望を描きたかったとフィダは言う。そのかすかな希望を、遠い日本の私達は、読み取ることができるだろうか。本当に、日本は遠いのだろうか。

フィダは現在、アメリカに住み、乳幼児の男の子を抱える母親になっているが、ガザに残る家族の安否が心配で眠れぬ夜をずっと過ごしている。昨年10月から3ヶ月の時点で、50人以上の親族を亡くしたと書いているので、今ではそれが何人になっているのか。直近の家族10数名全員を救おうと懸命に資金集めをし、今年2月にやっとのことで年老いた両親だけをエジプトに救出できたが、父親はエジプトに着いた途端に癌だったことが発覚(ガザでは病院にも行かれなかったため)、9月に設備の乏しいエジプトの病院で鎮痛剤も与えられずに亡くなった。7月には、再建されていた家が再び一部破壊され、3人の幼い子どもがいる姉が、急に嘔吐が止まらなくなり、ガザの設備のない混み合った病院の待合室で72時間待たされたあと12時間の昏睡状態となり、処理もされないまま亡くなっている。街に散布された何らかの化学物質が原因かもしれないということだが、真相は永遠に追求されないだろう。エジプト人の仲介人が膨大なフィーを取るため、かなりの資金が集まっても残りの家族を救出できないままに現在に至っている。また、つい先日、12/10の悲しいお知らせでは、家族の家の全壊が報告されていた。できる方は、少額でもぜひ寄付をお願いしたい。

彼女の資金集めサイトはこちら:
https://www.gofundme.com/f/gaza-crisis-rescue-my-parents-act-now