『スケーティスタン〜カブールを走る4つの車輪とボードの物語』 〜爆弾じゃなく元気を落とせ!〜日本初公開!

8/11 (sat) 22:00 ~ 野外トレーラー・シアター

8/13 (mon) 13:00 ~ 産業振興ビル3F

 

監督:カイ・セアー、プロデューサー:レネ・コック、脚本/編集:ナディア・ソラヤ・ヘンリク、アフガニスタン/USA/ドイツ、2011、95分、ドキュメンタリー (NAF セレクト作品)*

ログライン:戦争でひきさかれたアフガニスタンの子供達に希望を運ぶために、性別・民族・経済的背景の隔たりを乗り越えたスケートボーダーたちの物語。

オリバー・パーコビッチとシャルナ・ノランが2〜3枚のスケボーを抱えてカブールにやって来たのは2007年。人口の半数以上が子供のこの国で、オリーとシャルナはまもなく、彼らのスケボーが磁石みたいに地元の子供達を引き寄せることに気付く。公園の使われなくなった噴水­に戦火に引き裂かれた町に残された数少ない滑らかな地面を見つけ、そこで何度かレッスンをしてあげると、近所の男の子や女の子らは毎日来るようになった。このささやかな出会いが後に、アフガニスタン初の男女共学スケボー・スクール、スケーテスタンの創設へとつながっていく。その軌跡を記録したものがこの映画である。ユニセフ後援でベルリン映画祭の一環として開かれる「Cinema for Peace」で2011年最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した作品。

2009年を通じて、カメラはスケイティスタンとその創設者たちの活動を追う。戦争の瓦礫の中で育つ子供達の間の社会階級的、性別的、民族的格差を壊そうと日々四苦八苦する創設者たちの姿が浮かび上がる。彼らがまずすぐに知ったのは、町の女の子たちは、12歳までしか公園などの公共の場でスポーツをすることができない。女の子たちが練習に参加し続けられるようにするためには、室内の私立スケボー施設が必要だった。

オリバーはこうして、最新型の室内スケボー・パーク建設の決心を固める。空っぽの噴水で活動を続けること一年、スケイティスタンは、ハーフパイプと各種ランプを取り揃えた世界クラスのスケボー・パーク建設のゴールを達成する。しかも、この真新しいスケボー施設にあるのはスムースな滑走面だけではない。コンピューター完備の教室、ロッカールーム、子供達の衛生のためのシャワールーム、保健室だってある。ここでスケーティスタンが教えるのは、自分の意見をはっきり言えるようになること、個性を尊重する心、体力と自信、自分を大切にする気持ちと他者へのリスペクト、自立の精神、そして何より、スケボーへの情熱。登録した300人の子供達を対象に、健康的な生活習慣やコミュニティの中での役割を考えるクラスや、情報テクノロジー、アート、言語を学ぶクラス等が開講された。

『スケーテスタン〜カブールを走る4つの車輪とボードの物語』は、偏見や思い込みなしに、アフガニスタンの生活を描く。ありきたりでなく有効な救援のあり方と、もちろんスケボーへのオマージュとして。西側のメディアが報道してこなかったカブールの現実と、アフガンの子供達とスケーティスタンのスタッフ達の質素な暮らしを見てほしい。政治な意図はない。アマチュア・スケートボーダーのとあるグループが、戦争で荒廃した町の子供達に希望を運ぼうと、 民族的・宗教的・社会階級的な壁を乗り越えた姿の記録にすぎないー4つの車輪と1枚の板の助けを借りて。*(NAF セレクト作品)

本作品上映にあたりお世話になった ナディア・ヘンリクさんに、この場を借りて心より 御礼申し上げます。

制作チーム

監督:カイ・セアー

1965年デュッセルドルフ生まれ。スケボーおたく。アメリカン・フィルム・インスティテュートでディレクティングを学び、その後20年以上に渡りミュージックビデオ・CMのディレクターとして働く。手がけたコマーシャル作品はカンヌ・ライオンズで受賞二回、モントルー・ゴールデン賞、またドイツ、スイス、オーストリアのアートディレクター・クラブから数多くの賞を受賞している。本作が長編映画監督第一作目。

 

 

 

 

プロデューサー:レニー・コック

ハンブルグ生まれ、船長になるために生まれたと思って育つ。卒業までまだ1年あった年、クロアチアのバケーションを目指してハンブルグからヒッチハイクしていたら、ギアのたくさんある1970年型フォルクスワーゲンのステーションワゴンがレニーの立っていた数メートル先の路肩に停まってくれた。ちょっと話すと、運転していたやせ型ロン毛の男がミュンヘンまで乗せてくれると言うので乗り込んだ。その男はなんとヴェルナー・ヘルツォークで、その後12時間の運転とヘルツォーク家に疲れ果てて転がり込みソファで爆睡する頃には、レニーはまったく海に流されてしまっていた。最初に働いたのはドイツのネットワーク局NDR、それ以来業界まっしぐらで、今ではロスに拠点を置いて過去40年間、テレビCM、劇場用長編映画、テレビ番組をプロデュースしてきている。クルーの皆にアフガニスタンに向かってもらう前に、レニーはプロダクションの安全性やどのくらいまでできるかを見極めに単身カブールに入った。そして即座に見るもの、会う人々に魅了されてしまったのである。レニーの直近の長編作品はドイツ・ワーナーブラザーズの2008年作品『赤いバロン』。

脚本/編集者:ナディア・ソラヤ・ヘンリク

ハンブルグ生まれ。少女時代にテヘランに引っ越し、1982年までを過ごす。カブールに撮影でいた時、イランでの生活を思い出さないわけにはいかなかった...当時はスケボーはなかったけれども。化学の学士を取得した後、友達の誘いで映画制作に入り、編集室が気に入ってしまった。2002年、アメリカのプロダクション会社の引き抜きでアメリカに引っ越す。それ以来、CM、ミュージックビデオ、その他長編映画の編集なども手がけて来ている。

 

 

 

 

撮影監督:ラルフ・“カヤ”・ドブリック

映画の世界に照明技師として入る前にはスチール写真を勉強していた。現在ベルリン在住、TV番組、CM、ミュージックビデオのカメラマン。ガーデニングと日曜大工が趣味で、カブールのカヤは撮影の合間を利用して、スケーティスタンが飼っている犬のクッキーとリッキーに新しい小屋を作り、みんなが日陰で休めるように近くのガーデンに一列の樹木を植えたりした。

エグゼクティブ・プロデューサー:ケン・メイヤー

ニューヨーク生まれ。コロンビア大人類学学科卒業。パリに引っ越した後、クラード・シャブロル、ジャン・ベッカー、アレクサンダー・アルカディーといった名監督と働く機会に恵まれ、映画やテレビの道に入る。以後30年間で70本以上もの映画やテレビの作品に携わる。最近の作品にデイビッド・M・ローゼンタールの『ジャニー・ジョーンズ』(出演:アビゲイル・ブレスリン、アレサンドロ・ニヴォラ、エリザベス・シュー、2011トライベッカ出品)、ヴェルナーヘルツォークの『わが息子 わが息子』(出演:マイケル・シャノン,ィレム・デフォー、クロエ・セヴィニー、2009ヴェネチア映画祭出品)、アレックス・コックスの『レポチック』(出演:ミゲル・サンドヴァル、ロザンナ・アークェット、2009ヴェネチア映画祭出品)、スティーブン・ソダーバーグの『ガールフレンド・エクスペリエンス』(出演:サーシャ・グレー、2009サンダンス映画祭出品)など。皮肉なことに、ケンの業界で最初のクレジットは1980年NBCマガジンスペシャルの『インサイド・アフガニスタン』—今回『スケーティスタン』に関わったことで、一周回ったことになる。

フューチャー・ホワイル・U・ウェイト & デフィルム (製作会社)

本作品は、ロス・アンジェルスのフューチャー・ホワイル・U・ウェイトとハンノーバーのデフィルムという二つの制作会社による、独米合作作品。出資は、ノルマディア(ドイツのザクセン南部とブレーメン地方のメディアファンド)。面白いことに、ハンブルグ生まれのレニー・コックスがアメリカ側のプロデューサーで、NY生まれのケン・メイヤーがドイツ側のプロデューサーを務めた。

 

8/11, 22:00, 宇野港第2突堤トレーラー・シアター

8/13, 13:00, 産業振興ビル3F、メディア・ルーム

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