『完美生活』監督:エミリー・タン 2008年、香港–中国、95分、HD カラー、
シノプシス
2人の女性が人生の岐路に立っている。見ず知らず、何の関係もない。だが彼女達の過去にも未来にも何かしら共通なものがあるかも知れない。
憂鬱な中国北東部の工業都市で、生活に不安を抱える21才のリーは、足に障害を持つ男に出会い、彼の依頼で香港に近い深圳市(しんせん)に一枚の絵を運ぶ事を頼まれた時、ついに広い世界を知る為の第一歩を踏み出すチャンスを掴んだ。
彼女はその男の信用出来ない約束を失うが、 家は戻らず、深圳に残って厳しい生活の中で生きていく事を選択する。
ジェニーは深圳の町でリーに遭遇する。ジェニーは離婚協議中だ。彼女は、はっきりしない理由のまま、長い間夢に見ていた香港での生活を離れ、願いを叶えられないままの生活に葛藤していた。
2009年バンクーバー国際映画祭「Dragons & Tigers」
2009年香港国際映画祭「Golden Digital Prize」
第65回ヴェニス国際映画祭
produced by チョウ・クァン、ジャ・ジャンクー、リー・シュドン
1970年代の市場開放政策によって、中国は大きな社会の変革と経済成長を見た。しかしその変革はそれぞれの地方に大きな格差の歪みを生んだ。新経済体制により中国北東部に元々あった計画経済政策下の多くの巨大企業は倒産した。それまで国から無料の生活保護を受けていた何百万人もの労働者達は余剰人員となり自由市場経済の大混乱に巻き込まれた。彼らの子供達もまた、生まれ育った街で職に就く事はほとんど無理だと悟っている。
地方では 何百、何千万の農夫達が畑を後にし、仕事を求め、より良い生活を求めて都市部に向かった。職を失った労働者達とその子供達も一緒に中国南部の沿岸都市に洪水のように流れ込んだ。そこでは世界の生産システムの中で不法に行われている低賃金労働が彼らを待っていた。
この南向移住の波は1990年代全般に渡ってピークを迎えた。1992年に前指導者、鄧小平が南中国を周り開放政策と経済活性を中国復活の道として演説を行った後である。この深圳市は香港に近い故に多くの移住者にとって魅力的だった。
今日、深圳市に住む1200万人中、1000万人は他の地方から来た移住者である。その中で大多数が若い女性達。だが彼女達の仕事や生活の環境は厳しい。毎日数えきれない程の移住者が、離れるか、留まるか、地元に帰るか、、、選択を迫られている。
四川省で生まれ北京で育つ。西洋文学と言語学を北京大学で学ぶ。Chinese National Institute of Arts の大学院ではドラマを専攻。1997年に自身が監督・製作したドキュメンタリーを中国中央電視台(CCTV)で放映。1998年に中央戯劇学院で監督プログラムに参加し映画監督としての道を切り開く。