『十年』『黒い朝食』監督:ジャ・ジャンクー

『十年』2007年、8分、カラー

シノプシス

列車は春も夏も行き来している。列車が通り過ぎて行くのは中国の現実を最も映し出す町と大地で、列車の乗客たちが本当のフツウの中国人の顔だ。二人の女性が車上で毎日顔を合わせる。でも言葉は交わさない。SARSの流行る時、二人は共に座り見つめ合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監督の言葉

人生の十年の経過は列車のようにー止まれない。時の流れが伝える人生への答えは、年を重ねるという事以外、実体はない。

『黒い朝食』2008年、5分、カラー

第60回世界人権宣言に寄せて作られた、環境、人権、をテーマにした短編。ジャ・ジャンクーの故郷の山西省は中国一の炭坑の町で、600キロも離れた北京の電力を供給している。そしてそこは国連により世界トップクラスの大気汚染の町と指定されている。ジャジャンクーの代表作品の一つ『プラットホーム』(2000)や短編『十年』にも同様の巨大発電所が登場している。ススにまみれた故郷の人々を描くことで、監督は世界へ何を発信しているのだろうか。