広島ー長崎1945年8月
監督:エリック・バーナウ
撮影:岩崎 昶(あきら)
16分・白黒・1945/70、16ミリ映画
原爆投下の翌月に日本映画社が撮影し2時間40分にまとめた広島・長崎の記録映画は、その後GHQが没収、アメリカ政府により1967年まで封印され、原爆の実態が世界に動画で伝えられることはなかった。それがどういうわけか急に封印が解かれ、米公文書館に誰もが使える公有財産として下ろされ、同時に日本国政府に返却された。映像制作者でドキュメンタリー史家のエリック・バーナウ(彼の著書『ドキュメンタリー』は何十年の時を超えていまだに教科書として米大学で使用されている)率いるコロンビア大の映像制作チームがそれを聞きつけ、ワシントンDCの公文書館で映像を目にし、強い衝撃を受けた。そして、ベトナム戦争下の一般アメリカ人に原爆の恐ろしさを伝えるために、特に人体への影響に焦点をあてながら1970年に製作・発表されたのが16分の本作品。
日本では返還されたフッテージをもとにNHKがドキュメンタリーを製作、放送していたが、人体への影響部分は病院で撮影シーンの患者のプライバシーの侵害を考慮してすべてカットしていた。その後本作が日本に逆輸入され、1970年にテレビで放送、大きな話題を読んだ。視聴者、特に広島・長崎の被爆者の人達の間では、自分たちの本当の体験を伝えてくれている、と反響はよかったという。フッテージを撮影した岩崎昶(あきら、著名な映画監督)は、連絡をもらった当初はアメリカ人がつくる原爆映画と訝しがったが、完成作品を見て、核のない世界を望む心は同じと感動したと言う(詳しくは『占領されたスクリーン―わが戦後史』 岩崎昶著(1975年)参照)
アメリカ人による最初の、そして今なお非常に希少な、原爆体験を伝える映画。国境を超えて残るべき作品。
同時上映 8/7, 7:30pm 『黒い雨』
同時上映 8/13, 10:30am 『ヒバクシャとボクの旅』