『太陽は、ぼくの瞳』イランの巨匠 マジディ監督の名作。生吹き替えでちびっ子も感動!

監督:マジッド・マジディ、出演: ホフセン・ラマザーニ、イラン、1999、90分、ドラマ

8/11 (sat) 20:00〜 野外トレーラー・シアター1回のみ上映

盲目というハンデを持ちながらも懸命に生きる8歳の少年モハメド君は、手で触れ、音を聴いて自然と対話する。都会の全寮制盲学校が夏休みに入り、彼は優しいおばあちゃんと可愛い妹たちが住む、大自然が色鮮やかな田舎町に帰ってくる。でもモハメド君を重荷に感じているお父さんは、ほどなく彼を盲目の大工に預けてしまう...。『運動靴と赤い金魚』(アカデミー賞ノミネート)のマジッド・マジディ監督が贈る、映画の奇跡がつまった感動作。役者のほとんどが現地の素人というのも驚きだ。99年モントリオール国際映画祭グランプリ受賞、文科省選定作品。
今では大手レンタル屋でも取り扱われていないこの名作を、もう一度大画面で、野外で!今回マジディ監督自らが、日本の子供達のためにと特別に作品をイランから送って下さいました。ペルシャ語、字幕は英語のみ。字幕の読めないちびっ子も楽しめる、日本語生吹き替え上映。

8月11日 20:00 宇野港第2突堤トレーラーシアター 一回きりの上映です。お見逃しなく。

マジッド・マジディ監督紹介

1959年テヘランの中流家庭に生まれる。1978年のイラン革命の後、映画への興味から俳優になり、様々な映画に出演。1985年のイランの巨匠モーセンマフマルバフ監督作品『ボイコット』への出演が特に知られている。初監督作品 『バダック 砂漠の少年』(1985)はカンヌのディレクターズ・フォートナイトで上映され、初長編作品の『運動靴と赤い金魚』(1997)がモントリオール映画祭でグランプリを含む4部門を受賞、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートという偉業を持つ。この作品は日本でも手に入りやすいので、お薦めする。今回の上映作品『太陽は、ぼくの瞳』(1999)はモントリオール映画祭グランプリの他、タイムマガジン誌とニューヨークタイムズの映画評論家たちがそれぞれ選んだ2000年の年間ベスト映画の両方でベスト10入りを果たした。次作品の『少女の髪どめ』(2001)もまたモントリオール映画祭でグランプリ、ヨーロッパのアカデミー賞にノミネートされるなど、この頃、出す映画ごとに世界中でヒットになった。2001年のアフガン戦争時にはアフガニスタンの難民キャンプを取材したドキュメンタリー『「裸足でへラートまで」を発表、ギリシャのセサロニキ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞、2005年の『光をみつけに』はテヘランのフェアー映画祭で4つの賞を受賞、また2008年の『すずめの唄』はベルリン国際映画祭で銀熊最優秀主演男優賞および再びアカデミー賞ノミネートの栄光に輝いた。その他監督としての国際的な名誉賞として、2001年に ハンブルク映画祭でダグラス・シーク賞、2003年にイタリア国から贈られるヴィットリオ・デ・シカ賞も受賞している、世界に名だたる現役の巨匠である。

今回の上映への経緯

UPAFはどうしても『太陽は、ぼくの瞳』を岡山の子供達のために上映したい!と希望していたが、日本での上映権は現在もう期限が切れており、コピーライトを持つ制作プロダクション/監督自身に問い合わせるしかないとのことだった。3ヶ月かけて様々な配給会社や映画祭や外国の友人を経由してこの巨匠の連絡先を探した。ついに6月末にマジッド監督のメアドを入手。新作の撮影中でロケーションを転々としているご多忙の身ながら、小さな点のような存在の私たちからのeメールをていねいに読み返信してくださった。ほとんど予算のない、自分たちの日々の給料から持ち込みでやっている私たちの状況に理解を示して下さり、彼のすぐ横で働くレザ・タシャコリ氏を通じて、商業目的でなくこうした文化的なイベントに協力できるのは私たちも嬉しい、とのメッセージとともに上映を快く許可くださった。また、震災と放射能の難しい時代に育つ日本の子供達に、何かしてあげれることがあれば、という気持ちも持ってくださっている様子だった。日本はイラン映画のファンが多い国だし、過去作品の上映で日本を何度か訪れた時のことをよい思い出として覚えておられたようなので、そのことも手伝ったのかもしれない。そういうわけで、今回晴れて上映にこぎつけることができた。

現在アメリカを中心に行われている対イラン経済制裁に日本もまた関与しており、アメリカばかりか日本からもイランへの郵便や送金に民間レベルで大きな支障が出ていることに、UPAF自身驚いた。イランに住みながら、国際的に活動するというのは、大変なことなのだと思う。それでも文化やアートは、異国間、あるいは敵対し合う国に住む人々さえもを、つなぎ続けてくれる。そのためにも、どうしても今年、この映画を上映したかった。マジッド監督はそれを受け止めてくださった。本物の巨匠とはこういう人物のことを言うのだ、とUPAFはすっかり感動している。日本人にイラン映画ファンが多いのには理由がある。『太陽は、ぼくの瞳』を見ればお分かりいただけるはず。この貴重な上映会をお見逃しなく!!


前売 Pre-order



本作品上映にあたりお世話になった インフィニット・プロダクション(テヘラン)のレザ・タショコリさんとマジッ ド・マジディ監督に、この場を借りて心より 御礼申し上げます。