『ラス・パルマス』監督:ヨハネス・ニホルム (スウェーデン)

1) 『ラス・パルマス』 Las Palmas

スエーデン/2012/会話なし/カラー/13分/ドラマ

監督: ヨハネス・ニホルム Johannes Nyholm

カナリア諸島のラス・パルマスでバケーション中の中年女性が新しい友達を作り楽しむ物語。ただし、中年女性は監督の1歳の娘ヘルミちゃんが熱演、新しい友達は監督手作りの人形達。お父さんのための育児休暇を利用して6ヶ月かけて撮影した、ヘルミちゃんの成長のドキュメンタリー、と監督は呼んでいる。カンヌ映画祭最優秀短編賞、サンダンス映画祭招待、ヨーロッパの多くの映画祭で観客賞受賞作品。

ヨハネス・ニホルム監督は制作の過程について以下のように語っている:

「育児休暇中、ヘルミのエネルギーに魅了されてしまって、ただぼんやり座って彼女を見つめていられたので、ただ素直にドキュメンタリーを作ろうと思っていたんです。一日カメラを回して、彼女が食べたり、眠ったり、動き回っているところを記録しようと。それが、こんなに大きなプロジェクトになってしまった...

ラス・パルマスはスウェーデン・グーテンバーグの私の小さなスタジオで、半年をかけて撮影されました。私たちは人形を作り、小さなセットをこしらえ、Ebayでミニチュアのビール瓶セットを見つけてペルーから取り寄せました。撮影で一番心がけたのは、楽しむこと、そしてヘルミが喜ぶことをすること。セットは柔らかい素材とクッションで子供の遊び場みたいに作ってあって、ヘルミが自由に動き回ることができました。仕事をする感覚でやってはだめだ、と言い聞かせました。撮影は、1週間に1−2時間程度。脚本はなく、ストーリーはヘルミの突然の気まぐれから展開して行きました。ディレクトしないことで、ディレクトしたようなものです。必要な時間がかかるもの、とのんびり構えるようにしていました。主人公の成長ぶりがそれをよく物語っています。イントロでは映画の中にハイハイで入って行って彼女が、最後にはヨチヨチ歩きでセットから出てきたでしょう?最初のシーンでは歯がほとんどないけれど、最後には歯が沢山生えている。衣装も小さくて着れなくなってしまったし、ミニチュアのビール瓶もコブシに埋もれるようになってしまった。

ヘルミは作品の中で眠り、笑い、泣いています。それは可愛くて美しくて、エネルギーに満ちています。だから私にとってこの映画は、彼女の人生の2年目と最初の一歩を捕らえたある意味、ドキュメンタリーなんです。」

受賞歴:

オフィシャルセレクション、ディレクターズフォートナイト、カンヌ映画祭2011(フランス)
オフィシャルセレクション、サンダンス映画祭2012(アメリカ)
ゴールデン・ビートル賞、 短編映画部門、スウェーデン映画協会
グーテンバーグ国際映画祭スウェーデン短編映画大賞
観客賞、グーテンバーグ国際映画祭(スウェーデン)
観客賞、ハンブルグ国際短編映画祭(ドイツ)
観客賞、 ヴィンタートゥール国際短編映画祭(スイス)
観客賞、ブリストル、エンカウンターズ映画祭(イギリス)
観客賞、タンペレ国際短編映画祭(フィンランド)
観客賞、サンパウロ短編映画祭(ブラジル)
観客賞、シネソグニ、ラヴェーナ(イタリア)
ベストアート/アニメーション賞、ミニマレン短編映画祭(ノルウェー)
テクノロジー賞、フリッカーフェスト(オーストラリア)
奨励賞、ミラノ映画祭(イタリア)
奨励賞、ナッシュビル映画祭(アメリカ)
他。

スタッフ:
監督/脚本/カメラ/編集:ヨハネス・ニホルム
音楽:ビヨーン・