『ロ-ガリック』監督:パウエル・シエミンスキー(ポーランド)

『ロ-ガリック』 Rogalik

ポーランド/2012/カラー/ポーランド語/17分/実験映画/英語&日本語字幕上映

監督:パウエル・ゼミルスキー Pawel Ziemilski

ポーランド北部にある寒村、ローガリック。その住民達の「家」におじゃました、不思議ビジュアルツアー。何とも言えず記憶に残る作品。アムステルダム国際ドキュメンタリー映画際、HotDocs、ブルックリン映画祭などで上映。

 

村の何軒かの家を訪ねるのみのシンプルな構成なのであるが、それぞれの家と住人達が醸し出す独特の雰囲気、彼らを包む生活音、なめるようなカメラワークが大変ユニークな実験的な映像作品。まるでドールハウスの違う部屋を密かに見ているような気持ちになる。カメラは一つの部屋のある物体(テレビ、誰かの座っている椅子など)に寄って行き、そして静かに他の物体へと移って行く。人々が座っていることもあれば、子供達が遊んでいたり、ラジコンカーが走っていたりする。被写体達はカメラに構わず日常のことーテレビを見たり、人形と遊んだり、コーヒーを飲んだり、たんたんと時間が流れている。ある少年はネオン色のDJ機材の後ろに立って大きな音で音楽をかけており、その横にはお母さんが椅子に腰掛けている。このシネマ水族館の人々は誰だ?我々が覗き見していることに、彼らは気付いているのか?彼ら同士はどういう関係なのだ?そして通常最も注目されない場所:“家”の中で流れて行くこの実験的な夢のジャーニーを、我々はどう捉えればいいのだ?

 

パウエル・ゼミルスキー監督バイオ:
現在ポーランド第3の都市ウッジ(Łodz)にある国立映画学校の大学院生。短編作品を手がける傍ら、学校近隣の様々なマイノリティ・コミュニティで社会的なメディプロジェクトに参加している。後者の一環として、2009年以来自らがビデオの作り方ワークショップを開いてきた小さな村の若者達のために、映画グラントを最近立ち上げた。彼のドキュメンタリー作品の幾つかは、こういった活動を通して知り合った人達を被写体にしている。