『アラロミレ:呪いの女神像』(原題: The Figurine: Araromire ) ナイジェリア 120分、2009、ドラマ。監督:クンレ・アフォラヤン。西日本初公開!
ナイジェリアでは1990年代以来映画が大発展し、ナリウッドと呼ばれる巨大雇用創出産業に育っていることを皆さんはご存知だろうか。『フィギュリン』はその中でも、ナイジェリア人が「ナリウッドはここまで来た。これなら世界で勝負できる作品だ」と評価した最初の作品で、伝説的な位置を占める。確かに、すごい。サイコ・スリラーのジャンルだが、ナイジェリア(ヨルバ族)の口頭伝承や伝説を上手に取り込み、ストーリー展開が最後の最後まで驚きに満ち、非常に質の高い作品。停電は日常茶飯事、とにかく安く早くがナリウッドのルールで、安いカメラやマイクを使って、舞台セットは田舎の家などをそのまま使用することがほとんどな制作事情の中、 舞台セットもあるもので凝って用意し、お金はない分パッションと映画作りのクラフトで作られた珠玉の作品。
1960年代の独立以来、自分たちの姿を自分たちで描くことに重きを置いてきたアフリカ映画だが(ウスマン・センベーヌ監督など)、資本や配給はずっと元宗主国に頼るしかなく、自国民はヨーロッパの映画祭などで受賞するそうした“大使館映画”と呼ばれる作品を見る機会はなく、 ハリウッド、香港カンフー映画、インドのボリウッドミュージカルばかり観ていた。安いVHSビデオで自分たちのストーリーを撮り始めて始まったナリウッドはそれを覆し、ナイジェリア人の心をつかんだ。平均寿命52歳、今だ1日の賃金が百円以下の人が沢山暮らすこの国で、自国民に希望と誇りを与える映画産業は存在そのものが政治的。世界中が注目するナリウッドの伝説作品を日本でぜひご紹介したい。
対象年齢:サイコスリラーなので、小さいお子さんには怖いでしょう。暴力あり、セックスシーンは示唆のみ。字幕が読める、ホラーやサイコスリラーの好きなお子さんなら12歳以上オーケーかと思いますが、保護者のご判断でお願いします。
ナリウッドでは超売れっ子のセレブ監督