河の母

『河の母』(原題:Mother of River)アメリカ、28分、1995、ドラマ。監督:ゼイナブ・アイリス・デイビス。日本初公開!

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80年台から90年台にかけて、アメリカとイギリスで同時にブラックシネマが台頭した。80年台に満を持して始まったマイノリティによる映画制作の潮流の一つである。ニューヨークではNYU出身のミドルクラス監督のスパイク・リー、そしてロサンジェルスではもっと貧しい階層出身のUCLAの映画科出身の監督たちが活躍した。スパイク・リーが頑なに現代の黒人社会を描いた一方で、LAレベリオンと呼ばれる彼ら一派は、実は60年代後半から、アフリカ回帰や奴隷制・市民権運動を忘れないために作品を作っており、何十年も経った現在、その再評価が進んでいる。今回ご紹介するのはLAレベリオンの一人であるゼイナブ・デイビスが95年に制作した、非常に珍しい黒人女性監督の視点から奴隷制時代末期を時代劇として再現した短編映画。奴隷として白人の家族に仕える黒人の少女と、南部から北へと逃げてきた不思議な力を持つ河の母と呼ばれる自由黒人の女性との触れ合いを描く。16ミリで撮影・編集されたこの作品、デジタルビデオへの変換/レストレーションは費用がかかるため、現在まだされておらず、入手できるビデオコピーを監督からお借りして上映。

LAR-BIO-Davis監督:ゼイナブ・デイビス(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授)