島の兵隊

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ミクロネシアは第1次大戦前はドイツ領で、その後勝戦国だった日本の手に渡り、日本人が多く移住した。しかし、第2次大戦では日米の戦場となり、後に日本からアメリカの手に渡った。そして、1982年にようやく独立国となるが、その時締結された自由連合盟約というアメリカとの防衛協定のためにミクロネシア人がアメリカ軍に従事でき、入隊率がアメリカ自国のそれをはるかに上回ることを知る人は世界にも多くない。監督のネイサンはアメリカ人であるが、10年以上前にピースボートのボランティアとしてコスラエ島に行っている時にその事実を知り、衝撃を受け、言語を学び数年そこに住み、以来ずっとコスラエ島とその住人たちを撮り続けた。

映画座で2012年に上映した前作の短編は、コスラエと日本の関係についてだった。今回はアメリカ人として、アメリカとミクロネシアの関係に対峙し、アメリカの対テロ戦争でいわば自分の身代わりとなって戦死したり、今も中東のどこかでアメリカのために戦っているコスラエ島ネナ家の兵士達とその家族を丁寧に取材。ミクロネシアの美しく穏やかな自然や島民達の歌声と180度反対側にあるアメリカ軍に従事する兵士の現実、イラクへの同行取材も含め、5年の月日をかけて完成させた、美しく力強い作品。Hot Docs、Doc NYC、ハワイ国際映画祭など、北米のメジャー映画祭で上映。安保のある日本にも無関係とは言えない内容。UPAFが翻訳・字幕製作。

『島の兵隊』(原題:Island Soldier) 監督・撮影: ネイサン・フィッチ (Nathan Fitch)。編集:ブライアン・チャン (Bryan Chang)。2017年、85分、HDカラー、ミクロネシア/USA。観察ドキュメンタリー。音声:ミクロネシア語&英語、字幕:英語&日本語、日本初上映。

予告編(英語):
https://www.youtube.com/watch?v=WyXnzYd7wyA

上映日/時間
東京:7月29日(日) 19:30〜  上映後Q&A 特別スカイプゲスト:ネイサン・フィッチ監督!

岡山:
8月3日(金) 19:00〜 上映後Q&A 特別スカイプゲスト:ネイサン・フィッチ監督!
8月4日(土) 14:00〜

400X330_Nathan Fitch HEADSHOTネイサン・フィッチ(Nathan Fitch): 監督、撮影、プロデュース
ネイサンはブルックリンを拠点に活動する映画制作者&ビジュアルジャーナリスト。現在ザ・ニューヨーカー誌(The New Yorker)のビデオ部勤務。これまでにニューヨークタイムズ紙、タイム誌、カナダ国立映画製作庁(The National Film Board of Canada)などで作品が掲載/放映。ハンターカレッジでドキュメンタリーストーリーテリングの美術学修士号取得、在学中に福祉奨学金ファンドからの奨学金とジェームス・アロンソン賞(ソーシャルジャスティス・ジャーナリズム)を受賞。ピースコープのボランティア隊員として歴史遺産の保全のためにミクロネシアに住んだ経験を持つ。今だにパンの実が好物。ネイサンの過去作品についてもっと詳しく:Nathan-Fitch.com

BryanIFPSite smallブライアン・チャン(Bryan Chang):編集、プロデュース
ブライアンはドキュメンタリー映画の監督、撮影、編集。過去の作品はニューヨークタイムズ紙、ザ・アトランティック、MoMa(NY近代美術館)などで紹介、サンダンス映画祭で上映、また劇場公開されている。主な長編監督作品に『ブラスランド』(2012年UPAFで上映)、編集作品に『皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇 (原題:Narco Cultura) 』(第一編集者)、『A YEAR IN SPACE』(エミー賞ノミネート作品)、またタイム誌のために編集した短編『AMNESIA AND A CAMERA』と『BREACH OF FAITH』はPictures of the Year InternationalコンペとPDN Photo Annualコンペで最優秀賞受賞。現在は Meerkat Mediaのオーナーの一人。共同体の形式で運営されるプロダクション会社で、HBO、MTVネットワーク、タイム誌などにメディア制作を提供している。

400X330_Fivel RHEADSHOTファイベル・ロスバーグ(Fivel Rothberg):プロデュース
ニューヨーク市立大学ハンター校インテグレイテッド・メディア・アーツ芸術学修士号取得。ブルックリンのジェントリフィケーション(中産階級化/白人化)の原因となる地域再区分政策やアメリカ社会の階級や人種差別などの社会構造を扱ったドキュメンタリー『マイ・ブルックリン (原題:My Brooklyn、監督:ケリー・アンダーソン) 』のアソシエート・プロデューサー。若い父親としての自分を扱った自作ドキュメンタリー『HOUSE DEVIL, STREET ANGEL』は学校などの教育現場に配給され、 男らしさ、父親でいること、そして虐待の接点を話し合う教材として使用されている。草の根社会運動や非営利団体のための小さなプロダクション会社を運営。ファイベルの作品についてもっと詳しく:Fivelrothberg.com