ハンスー・シイララは2006年に2回の大きな脳卒中を経験、左半身不随に。現在彼女は、カナダのバンクーバーの介護施設で暮らしている。ハンスーとの電話の会話と抽象的なアニメーション映像を掛け合わせた本作品『ハンスー・ソロ』は、ハンスーの施設での日常と彼女が時間を過ごす上で思っていることを描いた親密なポートレイト。
違う分野で働く2人のクリエイターが、それぞれのこだわり技術と誰でもが考える大きな疑問を掛け合わせたのがこの作品。エミリーの伝統的アニメーション技法と、カヤの編集とサウンドデザイン技術を合わせて、カヤと彼女のおばさんであるハンスーが話す電話の会話に視覚的要素で反応してみた。ハンスー独特の言葉の抑揚リズムに合わせるように、映像は現実と抽象の間を行き来する。ハンスーのユーモアと思慮深い知性が映し出され、また彼女の生きることへの好奇心に感染しそうになる。
上映日/時間
東京:7月29日(日) 12:30~ (短編特集)
岡山:8月3日(金) 14:00~ / 8月5日(日)19:00~ (短編特集)
監督:エミリー・コリンズ&カヤ・シイララ(Emily Collins and Kaija Siirala)。2015年、8分、HD カラー、カナダ/アメリカ。アニメドキュメンタリー。言語:英語、字幕:日本語。日本初上映。
クリエーターBio:
カヤ・シイララ(Kaija Siirala)
ドキュメンタリーメディアの現場で編集者、サウンドデザイナー、また教育者として働く。最近では彼女が編集した作品『We Became Fragments』がニューヨークタイムズのOp-Docに掲載。これまで音編集で参加してきた作品はカナダ国立ギャラリー(National Gallery of Canada)、トゥルー/ファルス映画祭(True/False Film Festival)、 AFI 映画祭などで上映。2015年のエミリー・コリンズとのコラボドキュメンタリー短編『ハンスー・ソロ』が全米批評家協会(National Board of Review)から助成を得る。コラボ好きで、ダンス、お芝居、音楽などのパフォーマンスでのビデオミキシングも数多く手がける。2015年にはデンマーク領フェロー諸島のfluid states: performance of unknowingコンファレンスに参加。過去3年はハンターカレッジとプラットインスティテュートで非常勤講師。2016年-2018年までブルックリンの Meerkat Media Collectiveのレジデンスメンバー。2018年5月にニューヨーク市立ハンターカレッジのインテグレイテッドメディアアーツ美術学修士号を取得後、最近カナダのオンタリオ州ハミルトンに移住したばかり。
リンク
KAIJA SIIRALA
Vimeo: http://vimeo.com/kprsii
エミリー・コリンズ (Emily Collins)
エミリーはニューヨーク・ブルックリンの女性だけのアニメスタジオMighty Oak の共同経営者兼クリエイティブディレクター。ストーリーづくり、ファブリケーション、アニメーション、ポストプロダクションを担当し様々なプロジェクトを手がける。情熱を傾けるのはストップモーションアニメーション、イラスト、 ファブリケーション、それとノンフィクションストーリーテリング。過去のコラボクライアントはニューヨークタイムズ紙、ニコロデオンJr.、Netflix、HBOなど。自主制作作品はセイント・マークス・ポエトリープロジェクト、ガバナーズアイランド、アンソロジーフィルムアーカイブ、スペクタクルシアター、MUSMA美術館(イタリア)などで上映されている。2008年にロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(Rhode Island School of Design)を映画/アニメーション/ビデオ専攻で卒業、現在はハンターカレッジのインテグレイテッドメディアアーツ美術学修士号過程で学びつつ仕事を続けている。