『2012 短編特集 2』〜イルカとダンス〜トランスジェンダー・アーティスト〜サモアの首長〜スーパー8実験映画3連弾〜

8/12 (sun), 13:00 ~ 産業振興ビル3F,

8/13 (mon) 22:00 野外トレーラー・シアター

 

トゥギャザー:スピナー・ドルフィンと踊る海

監修・振り付け・ダンス:チサ・ヒダカ、USA、3’33”、2010、ダンスフィルム

太平洋の深い青の中、一人の人間の女とスピナー・ドルフィンの群れが、ダンスを通じてやさしく通い合う。

ドルフィン・ダンス・プロジェクトは、2009年、医師でもあるダンサーのチサ・ヒダカと共同創設者のベン・ハーレーによって始められた。ダンスフィルムの力を借りて、観る人にも野生のイルカたちとのびっくりするほど親しくアーティスティックな交流に参加してもらえるような、類のない直感体験を提供することが目的 。才能あふれる人間のダンサーと本物の野生のイルカが水中で一緒にダンスを作り踊る様子を、ハイデフィニションのビデオ映像がこれまでにない鮮やかさで映し出す。その映像を通じてプロジェクトが広く伝えたいのは、イルカたちと彼らの暮らす海を守ることの大切さと、地球を共有しているすべての生き物たちへの私たちが持つ責任の重さ。現在第2作目の編集が進められており(撮影は著名な水中カメラマン、ハワード・ホール)、2012年末までにはリリースの予定。また、長編映画とドキュメンタリーの計画も同時進行中である。詳細はhttp://www.dolphin-dance.org

チサ・ヒダカ

ドルフィンダンス・プロジェクトの監督/振り付け師でありメディカル・ドクターでもあるチサ・ヒダカの幅広い経験の根底にあるのは、探究心と発見を求める心。バーナード・カレッジ在学中にダンスを始め、1986年にダンス専攻で学士取得。NYタイムズに「取り憑かれたように踊る」と評される。その後20年間あまり、ダンサー、振付け師、ダンス教育者、また同時に筋骨格系の科学者として働く。現在もニューヨーク・ダウンタウンの即興ダンスコミュニティで活動を続ける。コーネル大学のウェイル・メディカル・カレッジで医師の学位を取得後、2001年以降はホスピタル・フォー・スペシャル・サージェリー(整形外科専門病院)で教えており、臨床整形外科学の分野で研究を続けている。医学/科学そしてダンスの専門知識と経験を活かして、バーナード・カレッジやマンハッタンビル・カレッジのダンス科で応用解剖学のコースも教えた経験も持つ。

ドルフィンダンス・プロジェクトにおいても、ダンスとサイエンスの経験が融合されている。長年の訓練で習得した即興ダンスの技術を野生のイルカとの交流に活かそうと考えたのである。しかも、クリエイティブ・プロセスにおいて、イルカの参加は完全に人間と同等な存在としての任意なものであり、それを脅かすような振り付けはしない。現在、サイエンスのバックグラウンドを活かし、異種イルカ間のコミュニケーションのリサーチへのダンスの利用の可能性についての研究を、イルカ科学者たちと共同で進めている。

『ケイト・ボーンスタインはクィアですてきにキケンなヒト』

監督:サム・フェイダー、USA、28’40”、2012、ドキュメンタリー

現在世界で最も影響力のあるジェンダー研究家の一人でありパフォーマンス・アーティストでもあるケイト・ボーンスタインの日常を捕らえ、彼女の心を探った作品。性転換者としての生い立ちを追うわけでもなく、起承転結があるわけでもない。むしろ、一人の人間をじっくり眺めながら、ケイトと彼女の創りだす世界の複雑さを映し出す。私生活と公の場のケイトの姿から、彼女の多面的で時には矛盾をはらんだ、そして常にチャーミングな人物像が浮かび上がる。そしてそういう彼女は、多くの人々に愛され、また憎まれている。

性別的・政治的・芸術的に既存の枠内に納まり切らずに生きるしかない人々にとって、ケイトが与えてきた影響は大きい。そうした人々が各々の人生を送る上で、彼女が授けてくれた言語と空間と許しは、今後何世代にも渡って心の拠り所となるだろう。

転換者、ジェンダー研究家、そして極度の鬱病のサバイバーであるケイトの人生の軌跡は、アートとコミュニティのコンセプトに新しい光を投げかけながら、クィアのトランスジェンダーでいることの意味を問いかける。

『首長』

監督:ブレット・ワグナー、出演:シエル・アヴェア、USA、21’23”、ドラマ、NAF film

ログライン:

娘を海にさらわれて死なせてしまったサモア諸島の首長は村を逃げ、ハワイ島ホノルルの怪しい町中でタクシーの運転手になったが...

シノプシス:

セム・ファチュトアはハワイ島ホノルルのタクシー運転手。かつて彼はサモアの村の首長だったが、悲劇の事故に遭い、刺青を隠して村を逃げ出した。今ではぐるぐる町を走るだけ、昔の暮らしなど忘れてしまった。でも昔の暮らしの方では彼を忘れるわけにはいかず、探している。そして一人のハワイアンの少女は、大災害の前日に家族から離れてしまいひとりぼっち、助けが必要だ。

サンダンスでのプレミアにあたりインディ・ワイヤ誌の「サンダンス 見逃せない短編10本」に数えられた。その後ロス短編映画祭では最優秀ドラマ短編賞を、ハワイ国際映画祭とマウイ映画祭両方でBAFTA賞及び観客賞を受賞している。

ブレット・ワグナー

ブレット・ワグナーはロスとホノルルを拠点に活動する脚本家/映画監督。「首長」の功績については上記参照。2010年にはNYタイムズ紙のベストセラー『デビルの歯』の映画脚本をトライベッカ映画祭経由でスローン財団からの助成を得て執筆、テレンス・マリック総指揮、ポール・アトキンス監督で映画化が進められている。前長編作品の『5年』は約30の映画祭で上映されビクトリア映画祭で最優秀長編賞、アヴィニョン映画祭で最優秀脚本賞、サラソタ映画祭で最優秀賞を受賞後、2006年に劇場公開している(タイトルは『秘密』=The Hidden)。

『デビルの歯』の映画化に加え、現在抱えている2本の長編プロジェクトは『首長』のテーマを長編映画にした『ネイチャー・ボーイ』と、オリジナル脚本の『歯科矯正医』。

また、これまでにディレクターとして手がけたCMは多数。マクドナルド、ロード・ランナー、KFC、AT&Tワイヤレス、スターウッド・リゾート、ハワイ航空、スニッカーズ、ディレクTVなど。

監督の言葉:

僕がこの映画を撮る時目指していたのは、現代の町で生き延びるポリネシア文化を描くこと。当時は比較的まだハワイに来たばかりだったので、よそ者のストーリーを描いてみたかった。つまり、新しい自分を作るためにどこか他の場所からホノルルにやって来た人...まあもちろん、主人公のセム・ファチュトアは僕とは全く反対の場所から来るんだけどね。そして最終的には、誰でもが共感できる話にしたかった。大切な人を失い悲しみ、自分を責め、そしてまた新たな人生の目的を見つける...サモア文化やハワイの生活を知らなくても、誰もが知っている人間の気持ちでしょう?

セイル・アヴェアは世界中を旅しながら“Fa’asamoa = サモア流”について人々に伝え、楽しませている人物で、協力者にはモッテコイだと思った。僕が脚本を書き、シエルが出演を承諾した。ダナ・ハンキンズというハワイで最も大御所のプロデューサーのところへ話を持って行ったら、おもしろいと言うことで乗ってくれた。『ランド・ハズ・アイズ』の撮影監督だったポール・アトキンスが撮影を担当、グレーシー・アトキンスが音声とプロデュースを担当してくれることになった。こうして2年に渡るアドベンチャーが始まったんだ。ハワイの最強のプロダクション・コミュニティの人々を総動員してね。サモア人も何十人も手伝ってくれた。シエルの家族の何人も手伝ってくれたし、彼らの数人は生まれて初めての映画出演もしてくれた。あとの皆は舞台セットを作ったり、撮影ロケーションや食べ物やその他沢山の親切を寄付してくれたよ。

『首長』は3年間もの間映画祭を回っていて、サンダンスから始まって、地球を一周し、色んな背景を持った何千人もの人々に見てもらえた。サモア人のために首都パゴパゴでの上映もしたし、サモアからはまるで遠いナッシュビルやイタリアのシエナでもやった。お客さんの反応は嬉しいのもあれば手厳しいのもあった。『首長』を銀幕にあげてくれたキャストやクルーのメンバーには本当に感謝している。そしてこれからももっともっと多くの人に見てもらいたいな。

ジョエル・シュレモヴィッツ3作品


 

『最近見てきた日本の風景』

2011、スーパー8、カラー、サウンド付き、14分

スーパー8ミリで撮影されたトラベローグ短編。3部から構成される、ナレーションを避けた詩的ドキュメンタリー。風景の印象と、ほんの一瞬のものながら、日本に起こった最近の惨事に対する制作者なりの哀歌を幽玄(言葉に現れない余情)の心を持って表そうとした作品。トライベッカ映画祭2012上映作品。

 

 

『春に』

2012、16ミリ、カラー、無音、3分

ニューヨーク市ブルックリンのプロスペクト公園の移り行く季節を一巻の16ミリフィルムが捕らえた作品。

 

 

『ボルダーーブルックリン:往復書簡』

2011、16ミリ、カラー、サウンド付き、3分、共同撮影者:ニコル・コッシュマン

ニューヨーク市ブルックリンのジョエル・シュレモヴィッツが3分の16ミリフィルム一巻に自分が見た町の風景を撮影し、それをコロラド州ボルダー市郊外の友人ニコル・コッシュマンに送った。ニコルはそれを巻き戻して、自分の目に映る風景を上から撮影した。こうして2人の協力者により、コロラドとニューヨークの風景が合体した。

 

特報! ジョエル監督来場決定!8/12,13の両日!!

作者紹介

ジョエル・シュレモヴィッツはニューヨーク市ブルックリンに住む実験映画監督。過去作品はニューヨーク映画祭、トライベッカ映画祭、ニューヨーク・アングラ映画祭、ノースウェスト・フィルム・フォーラム、あんソロジー・フィルム・アーカイヴ、ロバート・ベック・メモリアル・シネマなどで上映されている。受賞はシカゴ・アングラ映画祭、ダラス・ビデオ祭など。3枚セットのDVD集がMicroCinemaDVD.comから購入できる。

Contact         joel@joelschlemowitz.com

Website         www.joelschlemowitz.com

 

 

 

 

本プログラム上映にあたり作品を提供してくださったチサ・ヒダカ監督、サム・フェイダー監督、ブレット・ワグナー監督、ジョエル・シュレモビッチ監督に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

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